当プログラムの計算過程、計算式及び断面算定は、JFE建材(株)『QLデッキ設計マニュアル』、(一社)日本鋼構造協会『デッキプレート床構造設計・施工規準-2018』、日本建築学会『各種合成構造設計指針』に準拠します。
『QLデッキ』の合成スラブとしての計算可能範囲は、スラブ厚60~100mmです。
したがって、スラブ厚が100mmを越えた場合、100mmの合成スラブとみなし、残りを積載荷重として計算します。
60mm未満は入力不可です。
この計算プログラムにおいては、等分布荷重を対象にしています。
大型車駐車場の場合等、集中荷重や疲労応力に対しての検討はできません。
その他適用の範囲については、この『概要』の末尾の『留意事項』をご覧下さい。
全ての計算は、入力値も含め計算書記載通りの有効数字を用いて行っています。
QLデッキ合成スラブは、コンクリート施工時はデッキプレートが型枠として機能し、設計時(コンクリート硬化後)は合成スラブとしての機能を発揮する構造床です。
したがって、施工時は『型枠』として設計時は『合成スラブ』として検討します。
施工時のデッキプレートの正負曲げモーメント及びたわみは、デッキプレートとコンクリート等の重量に、実状に応じた施工時作業荷重を加えた等分布荷重に対して強辺方向の一方向スラブとして算定します。
デッキプレートの支持条件は、単純梁・2連梁・3連梁以上の3ケースを実状に応じて選択して下さい。
但し、『支保工』欄で「有り」を選択した場合、入力した施工時スパンの1/2の2連梁として算定します。
設計時(コンクリート硬化後)においては、正曲げモーメント及びたわみは全等分布荷重に対し強辺方向の一方向スラブとして算定します。
全ての支点は、実状にかかわらず「単純支持」として検討します。
また、強辺方向の負曲げモーメントは両端固定梁として算定します。
合成スラブのたわみは、施工時に支保工を使用した場合、全荷重に対しての値を用い、支保工を使用しなかった場合は、完成時の全荷重から合成スラブ重量を差し引いた荷重に対し算定します。
一層一水平変位を基本とした「剛床仮定」での水平荷重時の検討は、層せん断力係数Ciを使用して略算で検討します。
シャーコネクタが「焼抜き栓溶接」の場合、建物に作用する最大水平せん断力と合成スラブの持つ許容水平せん断力との比較を行います。
『面内せん断力』の検討は、デッキ長手方向及び溝方向に対し、デッキプレート上面のコンクリート板のみで負担するものとして計算します。
『スラブと梁の接合の検討』は、デッキ長手・溝方向それぞれに検討を行います。
但し、「焼抜き栓溶接」「打込み鋲」の場合は、デッキ幅方向の最小接合個数・位置が決まっています。
(詳細は計算表示画面でご確認下さい。)
『設計用水平せん断力』の算出は、合成スラブ工業会HP『合成スラブのQ&A』の『適用-Q04』ページにおける『2.梁と合成スラブの接合部について』を参照下さい。
『合成スラブのQ&A』 適用-Q04 http://www.gousei-slab.jp/q_a/qa_a/4a_04.html
『合成スラブのQ&A』トップページ http://www.gousei-slab.jp/q_a/index.html
現段階において我が国では、頭付きスタッドの短期許容耐力について、明確に定めた文献等は存在しません。
当プログラムでは、各種合成構造設計指針の第1編『合成ばり構造設計指針』に定められたスタッドの終局耐力を基準にしています。
更にスタッドの接合間隔(必要本数)の算定においては、デッキプレート規準を参考に、「スラブコンクリートの終局せん断強度と釣り合う」程度のスタッド本数としています。
スラブコンクリートは、デッキプレート山上平板部状コンクリート断面を対象とし、その強度を建築基準法施行令97条・平成12年告示1450号によって定められたコンクリートのせん断強度としています。
各制限値を次のように設定しています。
①デッキプレートに生じる応力
デッキプレートに生じる応力は、デッキプレートの短期許容応力度以下としています。
短期許容応力度(デッキプレート基準強度F):
表面処理がめっき無しの場合 | 205 N/mm2 |
表面処理がめっきの場合 | 235 N/mm2 |
②たわみ
たわみは施工時スパンLwの1/180 以下かつ2cm以下です。
①正曲げモーメントによるデッキプレート及びコンクリートの応力度
正曲げモーメントによるデッキプレート及びコンクリートの応力度は、支保工の有無にかかわらず、それぞれ長期許容応力度以下としています。
表面処理 | N/mm2 | |
---|---|---|
デッキプレート | めっき無し | 205/1.5 N/mm2 |
235/1.5 N/mm2 | ||
コンクリート | Fc/3 N/mm2 |
この際合成スラブの断面性能はコンクリートの引張応力を無視した有効等価断面性能を用います。
②負曲げモーメントによる支点上のコンクリート引張縁応力度
負曲げモーメントによる支点上のコンクリート引張縁応力度は、【0.62√Fc N/m㎡】以下とします。
この際合成スラブの断面性能は、全断面有効の等価断面性能を用います。
支保工を用いない時、負曲げモーメントは全荷重から合成スラブ重量を差し引いた荷重に対し算定し、支保工を用いる場合は全荷重に対し算定します。
③ずれ止めに作用するせん断力
『ずれ止めに作用するせん断力』は使用デッキ及びコンクリートにより、下のようになります。
焼抜き栓溶接と打込み鋲の場合に検討を行います。
施工時に支保工を用いない時には積載荷重によるせん断力に対し、支保工を用いる時はそれに加えて支保工除去時のせん断力を算定に入れます。
デッキ板厚 | Fc | N/mm |
---|---|---|
1.0 | 18 | 134 N/mm以下 |
21 | 144 N/mm以下 | |
24 | 154 N/mm以下 | |
1.2 | 18 | 160 N/mm以下 |
21 | 173 N/mm以下 | |
24 | 185 N/mm以下 | |
1.6 | 18 | 214 N/mm以下 |
21 | 231 N/mm以下 | |
24 | 247 N/mm以下 |
④合成スラブのたわみの制限値
合成スラブのたわみの制限値は、支保工使用の有無にかかわらず【Ld/250】以下です。
この際の断面性能は、引張側コンクリートを無視した合成スラブの有効等価断面性能を用います。この有効等価断面二次モーメントは、ヤング係数比を「15」として算出したコンクリート換算の値です。
⑤ひび割れ防止筋
ひび割れ防止筋は合成スラブとしての計算にかかわらず、スラブ全面に渡り、デッキプレート上のコンクリート断面の【0.2%】以上配することとします。
① 「水平せん断力耐力」
焼抜き栓溶接の場合、合成スラブに作用する最大水平せん断力Qdと合成スラブの許容水平せん断耐力と比較を行います。
② 「面内せん断力」
デッキ長さ(強辺)方向及びデッキ幅(弱辺)方向について検討を行い、【1.5 *Fc/30】以下かつ【1.5 * (0.49+(Fc/100))】以下とします。
ただし、軽量コンクリートの場合、上記値を0.9倍した値とします。
③「スラブと梁の接合」
入力値から『シャーコネクタ』の間隔(数量)を算出、デッキ長手方向・幅方向共に、必要量を満たしているか検討します。
焼抜き栓溶接・打込み鋲の場合は、短期としての検討を行っていますが、頭付きスタッドについては、上記『※頭付きスタッドの許容耐力について』に記載したように、終局耐力での検討とします。
計算結果の式中にでてくる記号や係数値等は、次の通りです。
表示の無い分については『QLデッキ設計マニュアル』に準拠します。
なお、中立軸(cXn、eXn)以外の断面性能は、1m幅当りの数値です。
*頭付きスタッドの許容せん断力低減係数α の数値は下記表に記載
2列配置チェック無 | 2列配置チェック有 | |||
---|---|---|---|---|
頭付きスタッド長さ | QL99-50 | QL99-75 | QL99-50 | QL99-75 |
80 | 1.00 | – | 1.00 | – |
90 | 1.00 | – | 1.00 | – |
100 | 1.00 | – | 1.00 | – |
110 | 1.00 | 0.766 | 1.00 | 0.542 |
120 | 1.00 | 0.986 | 1.00 | 0.697 |
130 | – | 1.00 | – | 0.852 |
140 | – | 1.00 | – | 1.00 |
このプログラムを用いるに際し、次のようなことを考慮して設計を行って下さい。
大型車駐車場等にQLデッキを用いる場合は、このプログラムの計算結果に加えて、別途集中荷重や疲労応力に対する計算を行って下さい。
非常に大きな集中荷重(フォークリフト等)が動的に繰り返し作用する場合は、このプログラムの計算結果に加えて、荷重の種類・大きさや適切なスラブ厚、集中荷重による構造解析、デッキの疲労応力の考慮など、設計者が物件毎に適切に判断して処理して下さい。
倉庫のようにつねに非常に大きな積載荷重が想定される場合は、余裕を見て設計して下さい。
□著作権
本プログラムの著作権は、JFE建材株式会社が所有します。
□免責事項
本プログラムの使用にあたっては、使用者自身の責任の下に行ってください。本プログラムの使用によるいかなる損害に対しても、作者は一切の責任を負いかねます。
デッキ種類が
①QL99-75かつ「支持条件(入力項目「デッキ支持-連続スパン」)が2連続または3連続」の場合
→ 長期:1.16 短期1.20
②上記以外(QL99-50単純・連続、QL99-75単純支持の場合)
→ 1.00
①板厚1.2mmかつ表面処理が「めっき無し」または「錆止め塗装」の場合
→205
②上記以外の場合
→235
(コンクリート換算)(単位幅1m当たり)
(コンクリート換算)(単位幅1m当たり)
ただし、ヤング係数比を3nとする。
(単位幅1m当たり)
(単位幅1m当たり)
ただし、ヤング係数比を3nとする。
ユーザ入力項目「施工時/作業荷重」から、ユーザが選択
ただし、ヤング係数比を3nとする。
※固有値を使用する際はデッキ種類と板厚によって値が変化する
QL50-10 → 22.2
QL50-12 → 26.3
QL50-16 → 34.4
QL75-10 → 30.0
QL75-12 → 36.3
QL75-16 → 52.7
QL50-12 → 66.3
QL50-16 → 87.1
QL75-10 → 137
QL75-12 → 163
QL75-16 → 216
入力項目「ひび割れ拡大防止筋」が、
φ6-75×75 の場合 → 75
φ6-100×100 の場合 → 100
φ6-150×150 か D10-@150 の場合 → 150
D10-@200 の場合 → 200
普通コンクリートの場合 min(S,63.5)
軽量コンクリートの場合 min(S,82.6)
200.9(φ16)
283.3(φ19)
379.9(φ22)
「精算」選択時23、「略算」選択時24(普通コンクリート)
「精算」選択時19、「略算」選択時20(軽量コンクリート1種)
「精算」選択時17、「略算」選択時18(軽量コンクリート2種)